東京育ちですが、自然の中で植物に触れるときが一番落ち着き、大学は農学部に進んで造園業界に入りました。結婚を機に長野に移り住んでからも一貫して庭造りに携わり、子どもたちが生まれてからは自由が利く自営で続けました。根っから植物が好きなんです。アルペンローゼには、子どもたちも少し大きくなってきたのでまた会社を探そうと考えていたときに求人を見つけ「ここで働きたい！」と。アロマに特徴をもつ化粧品会社がガーデンを経営していることに興味を持ちましたし、「植物の生命力と癒し」というコンセプトが、自分の生き方にぴったりだと思えたのです。現在は、ラ・カスタ ナチュラル ヒーリング ガーデン内の植物管理や施設管理、植栽デザインなどを手掛けながら、ガーデンディヴィジョンの課長としてスタッフ管理、自社農場の運営など幅広く携わっています。事務仕事が多くなると何だか弱ってきて（笑）、庭で植物に触れる仕事に私自身が力をもらっていることを感じます。
ラ・カスタのガーデンでは、単に美しい庭園を造ることが目的でなく、その先に「植物の生命力と癒し」を届けるというコンセプトがあります。その実現のために意識していることは、お客様の五感に働きかける庭造りです。花々の色や姿のハーモニーを見て、園内の小川や滝に流れる水の音や飛び交う鳥の声を聴き、アロマガーデンに育つ植物に触れて香りを楽しんで、カフェではハーブティーを味わって寛いでいただけます。また、自社農園があるため、海外のめずらしい品種も種で輸入し苗を育て、株を大きくして思い通りに花壇に植えたりするのも、なかなか他のガーデンではできないこと。もちろん自然が相手なので、冬の凍結で園路が壊れたり、西洋芝が夏を越せないことが続いたりしたこともありました。開園して17年が経ち、今は、大きく育ち過ぎた樹木の対応などで、試行錯誤を重ねています。ブランドイメージに合った癒しの庭を、細部までこだわって造ることができることは、ガーデナーとして幸せなことです。
オンシーズンには総勢18名となるスタッフが、快適に、モチベーションを持って、能率よく働けるようにすることも私の大事な仕事です。以前は、自分が知識や技術を身に付けて、いかにガーデンの質を上げるかということに注力していましたが、チームをまとめる立場になってからは、全体の力が最大限発揮できるようにするにはどうしたら良いかということを常に考えるようになりました。また、今後はより一層ブランドの価値を向上させるガーデンのあり方を探っていくときです。化粧品会社がガーデンを持つことは日本では少ないですが、海外ではめずらしくないようです。化粧品との結び付きをどのように表現していくか、チームのみんなで答えを出していきたい。そうやって力を合わせて「植物の生命力と癒し」を具現化することで、ブランドの価値を向上させ、同時にスタッフが生き生きと働ける環境を維持できるようなサイクルを回していきたいと思います。
